『遠近両用眼鏡』に上下幅30ミリは絶対必要か?

(補足)お客様のご質問への回答編 (回答編の目次は、ココをクリック。)


(3)【 遠近両用眼鏡に上下幅は絶対30ミリ必要か? 】


◇ [ 遠近両用眼鏡を作ろうとしたら、こう言われた。]


 『上下幅が30ミリでは、累進帯14ミリタイプでは入らない。』
 『累進帯11ミリタイプを使用しないとお作り出来ない。※1』そして、


 『累進帯14ミリタイプと11ミリタイプでは見え方も違う※2ので、
  もう少し大きなフレームを選んで頂きたい。』と言われた


 [33ミリ程度上下幅]がないと、累進帯14ミリタイプは製作不可能なのか
 貴店の見解を知りたい。」 という主旨のお問合せを頂きました。


 メールだけでお答えするのには、とても『難しい』問題です。


 『難しい』問題という理由は、


(a)『他店のスタッフ』と『お客様』のやり取りを、実際に見ていない事。


(b)『選ばれたフレーム』や『使用レンズ』、
  『お客様のお顔』と『見るときの癖』を、私は存じ上げない事。


(c)眼鏡店スタッフが『本人にしか分からない意図』で、
  お客様のことを気遣って、製作見合わせを申し出ている事実があること。


⇒上の3つの条件下では、『十分な情報のない第三者』がアドバイスで、
 新たな不信や混乱を起こす事を避けなければいけません。


 上記の主旨をお客様にメールでお知らせして、
 今後のお店とのお付き合いがなるべく友好な関係が保てるように、

 『スタッフが出来ないといった理由』を私なりに推測できる事を記して、
 思い当たるところがないかを、回答申し上げました。


 ※以下はその際の回答にプラスして、書き足しております。



(A)『上下幅30ミリでは、累進帯14ミリの遠近両用レンズは入らないか?』


 お客様のPD(瞳孔間距離)とフレームのデザインに問題がなければ、
 【上下幅が30mm】あれば、【物理的なレイアウト可能】と言えます。

 ※お客様のアイポイントをとる位置での上下幅です。


 下のレイアウト図をご覧下さい。これは、最大上下幅『約29ミリ』、
 アイポイントはレンズ中心から3mmアップの遠近両用眼鏡のレイアウト。

    


 左が累進帯『約14ミリ』タイプで、右が『11ミリ』タイプ。
 最大上下幅が『29ミリ』で、アイポイント位置で上下幅『28ミリ』です。


 私がこのようなレイアウトで使用していて、不自由を感じません。


 『メーカー』や『レンズ設計』の違いで、多少は違うと思いますが、
 お客様の薦められた14mmタイプなら、主要な近用部分を損ねず、


 作成することは十分可能だと、客観的に分かります。


 では、『物理的』に無理なくレイアウト出来たとして
 その眼鏡店スタッフは、何故『オススメ出来ない』とお話したのでしょうか?



(B)『レイアウト可能な【遠近両用眼鏡】をオススメしない理由は?』


①【製作可能アイポイント位置で、お客様に眼鏡をかけて頂けない。


◆例として、選択したフレームのデザインでは、
 レイアウト優先でのフィッティングが出来ないというケース。


 フィッテングのセオリーに、鼻骨の部分で留めるという事がありますが、
 個々のお客様の鼻骨の位置は、セオリー通りではないので、

 ベストフィッティングをした後にレイアウトをすると、
 上下幅が足りない場合もございます。


※本来、プレ・フィッティング→レイアウト可能かの順で判断します。


◆眼鏡を持ち上げて(または下げて)使う傾向がある。←使い方のクセ。
⇒使い方の『クセ』は、中々改善されません。

 当然、製作側は、余裕が欲しくなります。
  
 持ち上げ癖があると、遠用度数がレンズ中央(より下に)なる場合があり、
 近用部分が入らなくなる事もあります。


◆上下幅を狭くして、メガネを眉毛の位置まで上げたがる場合も同様です。



◆物を見るときのお客様毎に使い方のクセがあります。
⇒具体的には『姿勢』や『視線の移動』などにクセがあります。


 『なくて七癖』です。大きい眼鏡の時にはカバーできても、
  小さい眼鏡では『そのクセ』で不自由を感じることもあります。



②【今までの眼鏡との兼ね合いの理由でオススメ出来ない。


◆今までのメガネが大きくて、広い視野に慣れている場合、
 大きなレンズの視野に慣れているので、


 製作前・完成後の2度、使い方の注意点を十分説明しても、
 お客様がうまく使えず、ご不自由を訴えられるケースもあります。



③【製作加入度数との兼ね合いでオススメ出来ない。


◆『製作加入度数』が強いと、加入度数が弱いレンズと比べて、
 『明視範囲(面積)』が狭くなります。

 このため従来の眼鏡に比べて、見え具合の満足度が低くなる場合があります。



④【担当スタッフも遠近両用経験者なのに、躊躇する理由?


◆考え方によって、眼鏡製作者間で必要な上下幅が異なります。


 例え、多少歪みの部分であっても、人によってはあった方が、
 よく見えて快適な方もいらっしゃいます。


 もし担当したスタッフの好み(実体験)で話をしている場合、
 お客様にとってもその可能性が考えられたのではないでしょうか?


◆メーカーの『推奨縦幅』を厳密に守っているスタッフの可能性もあります。


→ メーカーが『推奨縦幅』をマニュアルに記述する際、
  当然、多くの方が満足出来るように余裕を持って縦幅を決定します。

  薦めるスタッフ本人が、 お客様に適性があるかを判断する前に、
 お客様のリスク回避・軽減のために、判断をする場合もあります。


  私はリスクをきちんとお話して、
 お客様のご判断を仰ぐがベストだと思っています。



(C)『同じレンズの[14mm]と[11mm]タイプで『歪み方』はかなり違うか?』


  【結論から言えば、『かなり違うと』感じる方が多いです!


◆低加入度の場合を除き、ほとんどの方が実感できるくらい違います。


  加入度数の初期の方の場合、『14mm』と『11mm』の大きな違いは、
 『中間距離(または近く)の見え方』と『遠用部分の違和感』でしょう。


 お客様が『11mmタイプをご希望』、または用途の面で適している方に、
 【14ミリ】と【11ミリ】のテストレンズを試して比べて頂いております。


 お客様が『14mm』タイプで快適に感じられれば、慣れにくくなる
 リスクを負う『11mm』タイプをお勧めしません。


 以上、『考えられる理由』を書き記しました。


 大抵の誤解は、『説明』不足に起因することも多いです。


 『説明』が不十分な点は、体感をして頂いた上で、再度ご説明するとより理解が深まります。


  ぜひ『説明』が分からないときは、実体験を通したご判断をお勧めします。


 ☆この項目の内容は、『半完成』の状態で随時更新致します。
  予めご了承下さい。

 
 
 
☆結論:上下幅30mmの眼鏡で、[14mm]累進帯の遠近両用は製作可能か?
⇒結論から言えば、製作可能です。


 [ まとめ ]


レイアウトさえ出来れば、『見る為の道具』としての製作は製作可能です
 しかし眼鏡の技術者側は、【完成した眼鏡が使いやすいか】を重視します。


 『使いやすさ』・『見易さ』がお客様の満足に直結しますから。 (^-^)


 当店は『デザイン性も重視したい』お客様のお気持ちにも沿いたいので、
 仮にご希望の眼鏡でお作りした場合の懸念材料を体感を通して頂き


 懸念材料をどうしたら『緩和』できるかを肯定的にアドバイスするように
 心がけていきたいと思っております。(*^-^*)


 行き着くところ、ご提供しました情報をお客様が総合的に判断されて、
 最終的な意思決定をしていただくのがベストだと、私は考えております。

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