★遠近両用眼鏡の累進帯選択時のチェックポイント(ロング or ショート)

(補足)お客様のご質問への回答編 (回答編の目次は、ココをクリック。)


(13)【 遠近両用レンズの累進帯 選択のポイントは? 】


遠近両用レンズの累進帯が、選択できるのは何故?


◇ 一部アイテムを除き、1つの遠近両用シリーズで累進帯の長短を選択可能。
⇒ いわゆる – ロング / ショート の2種類の選択可能 –


 例えば、HOYAの両面複合設計 遠近両用レンズ [ LSV ]シリーズでは、
 販売金額が同じで14mm または 11mmを選べます。


 私が「勝手に」レンズ性能が高いと思っている 日本の3大レンズメーカで調べると…。

メーカー名H 社N 社S 社
累進帯の長さ14 / 11mm14 12 mm14 / 12 /10 mm


※ しかも、プレミアムクラス(1組10~20万円くらいの)レンズになると、
  各社ともに、上記より広い範囲で、1mm単位で選べます。


 選べるということは、それぞれにメリットがあるから。


では…【累進帯の長短のメリット】を大雑把に一部説明します。


★ [ 累進帯ロング(長い)タイプ ] のメリット

→ [ 短いタイプ ]より、遠から近の度数変化が緩やかで中間度数の面積が広い。
→ [ ショートタイプ ]よりも、遠用部の歪みが少ない。


★ [ 累進帯ショート(短い)タイプ ] のメリット

→ 中間距離の部分を短くした分、近く用度数の面積が広い
→ 加入度数が強く、中間度数が不要な人には、使いやすい。


※ なお遠方の見え方に着目すると、度数切替りが急な「累進帯ショートタイプ」は、
  「遠用部分の歪みが、ロングタイプよりも増える」デメリットがあります。

 (これをちょっと覚えておいて下さい。後で話に出ます。)



 それでは、[ 累進帯 選択 ] のポイントを説明していきます。



選択のポイント⇒ [ 用途・使い方 ] + 選択後の注意点 [ レンズ サイズ ] 】



(1) [ 用途・使い方 ] = 製作の動機・理由 + 具体的内容 で 累進帯を選ぶ。

◇まず、下表の例のように、左側に、ご自身の製作動機 を書いてみましょう。

 次に 製作動機の環境を具体的に、右側に書いてまとめましょう。
 具体的には、「対象物とそのサイズ」・「対象物までの距離・作業姿勢」です。

 

製作の動機・理由具体的な対象物(サイズ)・条件(距離・姿勢など)
 (1) 車の運転で、不便を感じている。

◇ 対象物 : 道路標識 (視力表の0.7位の大きさ)

→ 距離  : 100m先  (着席状態)

◇ 対象物 : カーナビ (MPゴシック 14 pt 位)
→ 距離  : 70 cm 位  (着席状態)

 (2) 料理の時に、苦労している。◇ 対象物 : 大根の桂剥き(視力表の0.7位の大きさ)
 → 距離  : 30 cm 少々  (起立状態)

◇ 対象物 : 台所仕事全般(調理器具・食材による)
→ 距離  : 60 cm 少々  (起立状態)

◇ 対象物 : タブレット 
(7インチでCOOKPAD参照)
→ 距離  : 70 cm 位   (起立状態)
 (3)仕事・デスクワークが捗らない。◇ 対象物 : 資料・報告書(文字サイズ特殊性なし)
→ 距離  : 35~45 cm   (着席状態)

◇ 対象物 : デスクトップ(CAD・具体的文字サイズ)
→ 距離  : 50 cm 少々  (着席状態)

 ◇ 対象物 : 模型・設計図(図や写真ご持参で再現)
 → 距離  : 80 cm 位 (壁掛けまで移動・起立状態)

◇ 対象物: 同僚・来客 (顔・服装)
→ 距離  : 5 ~ 10m 位 (移動後・起立状態で確認)


 例えば、(1) 運転用遠近両用眼鏡の場合、老眼(加入度数)状況で変わりますが、
 おおむね、長短どちらでも対応可能で、御本人の見え方の好みをテスト装用で確認します。


 (2)の場合、高加入度数になると、中間度数の面積の減るショートタイプより、
 ロングタイプの方が使いやすくなる傾向があります。~ 中近両用レンズが良い場合もあり。


 (3) の場合、加入度数が弱度なら、多くの場合、ロングまたはショートを好みで選択。
 加入度数が強い場合で、中間度数がなるべく必要なら、ロングタイプが快適に感じやすいかも。


 ※詳細さ・緻密さが要求する場合、中距離重視の遠近両用レンズ or 遠用重視中近両用も選択肢に。


◆上記例を少し解説しましたが、必ずしもお客様に当てはまるかは別です。
 テスト装用した時に上記例を参考に、ご自分がどう感じるかを意識して見て下さい。

 漠然とテスト装用するよりも、多くのことを感じて、より良い選択ができる可能性が高まります。



 それではもう一つの選択時のポイントに移りましよう。



(2) 累進帯選択後の注意点 [ レンズ サイズ ] = 累進帯にあった 眼鏡フレーム 選び


→ (1)のプロセス、そしてテスト装用の結果、累進帯タイプを決定したら、
   各レンズ性能を十分に活かせる、[ レンズ サイズ ] のメガネフレームを選びましょう。

  補足:遠近両用等の累進レンズは、レンズ上部から下部に、度数が縦に変化します。
     このため、レンズの上下幅のサイズについて記します。

累進帯 タイプ[ 推奨サイズ ] または [ 注意点 ] – 私見 –
ロング  タイプ  [ 推奨サイズ ]
 ◇ 初心者で今まで大きな眼鏡を掛けていた場合
   旧世代設計 : 上下幅 33 mm以上
   現世代設計 : 上下幅 30 mm以上

  [ 注意点 ]
 ◇ 上下幅が小さくても、使い方によってはショートではなく、
   ロングタイプで快適な人も一部で存在します。
 → 私も、上下幅 25 mmでロングを持っていて、使っています。
ショート タイプ  [ 推奨サイズ ]
 ◇ 初心者で今まで大きな眼鏡を掛けていた場合
   旧世代設計 : 上下幅 30 mm より小さく。
   現世代設計 : 上下幅 30 mm より小さく。

 ⇒最小上下幅は、レイアウトで変化するので不記載。

  [ 注意点 ]
 ◇ 上下幅の大きい(例えば35~40mm)眼鏡で作ると、
   遠用部も近用部も歪みの部分が大きくなります。

   上下幅の小さいレンズデザインで見える範囲を増やす設計は、
   上下のある眼鏡にすると、ロングより歪みが大きい性質あり。



例えば、近遠両用メガネの設定で遠近両用メガネをショートタイプで製作するなら、
上下幅の狭いデザインで作る方が、歪みが少なく感じて、使いやすい方が多いです。


 (実例1)
 他店で近遠両用眼鏡の設定で、上下幅のある眼鏡で作られたお客様で、
 全く使えなかったお客様に、適度に上下幅の小さい眼鏡を当店製作。

 全く問題なくお使い頂いているお客様もいらっしゃいます。

 (実例2)
 私自身も、ハイグレードの中近両用レンズのショートタイプを、
 上下幅45mm位の大きな上下幅の眼鏡で製作した時、

 歪みが気になって使い物になりにくかったのを、
 上下幅の小さな眼鏡で再作したところ、終日装用可能になりました。




 「 まとめ 」

このように、「累進帯の選択」には、使用目的等の明確な意識付けを行い、
その上で、テスト装用時にしっかりと自己評価をできるようにする。


そして自己評価ができた後は、選択した累進帯の特徴にあった上下幅の眼鏡を選ぶ。


この2段階をしっかりとすることが大切です。


お客様をきちんとリードできるスタッフ・ショップで眼鏡を作れればよいのですが、
そういったことにご心配のお客様は、ぜひ上記の点を注意しておくと良いと思います。


皆様の快適な眼鏡作りを心よりお祈り致しております。(*´ω`)

このエントリーをはてなブックマークに追加