★遠視と老眼で遠近両用眼鏡の方がベターだが、単焦点眼鏡製作のケース。

(補足)お客様のご質問への回答編 (回答編の目次は、ココをクリック。)


(18)【 遠視で累進推奨だが、まず遠用単焦点製作の場合 】 – 注意点 –



 [ 序章 ]  – 遠くの物・近くの物を見る仕組み-

◇ 眼の良い(=正視)の人を例に。


1:眼の良い人は、
 黒板などの遠くを見る時、
 毛様体筋で水晶体を調節することなく
 網膜で焦点が合います。


2:次に、
 人間が近くの物を見ようとすると、
 近くなった距離の分だけ、
 焦点はズレます。


3:そこで、
 「毛様体筋」の筋力で、
 「水晶体」を膨らませ、
 網膜に焦点を合わせる。

  これが近くを見る時の仕組みです。





[ 遠視の人の毛様体筋 ] - 働き具合 –

ここで、「遠視の人」のお話しに。

遠方を見た際に、無調節状態だと、
焦点が網膜よりも後ろになる状態。

上の図で言うと(2)の状態ですね。
これが遠視の人の状態です。

本来近くを見る時に使う毛様体筋を、
遠くを見る時にも使って、

網膜に焦点を移動させ、見ています。

近くを見る時は、更にに毛様体筋を使い、
網膜に焦点を持ってきます。
遠視の人の「毛様体筋の使い方」のまとめ

近くの時だけでなく、遠くを見る時も使っている。
他人の数倍の時間、毛様体筋を使っている事になります。




 [ 眼鏡自体が初装の遠視の人への対応方法 ]  - 柔軟な対応が大切です –

◇ メガネ自体が初装だと、まず頑張り屋さんの多い遠視の方。
  そのタイプや順応力によって柔軟な対応が必要になってきます。

 私の場合は、大まかに分けると下記の3つの対応方法に分けて、
 お客様の個性に着目して、細かく対応するようにしています。


1:遠視完全矯正の累進(遠近両用や中近両用)レンズで製作

2:遠視完全矯正では装用できない方は、調整遠用度数で、累進レンズにて製作。

3:遠視完全矯正では装用できない方は、単焦点レンズにて製作。


 眼鏡屋の中には、完全矯正値を過剰に考えている人もいますが、
 実際に装用できなければ、ただの理想で終わってしまうと、私は考えます。

 現実と乖離した理想ではなく、 「お客様」を基準で製作する。
 この1点をブレズにすることが、よりベターな眼鏡作りにつながると考えます。


 正しくあるべき度数と使用に耐えうる度数を一律にしないことこそ、大切です。



 [ 単焦点レンズ製作になるケース ]


◇ 理想は「遠視完全矯正の累進メガネ」ですし、
  もし無理なら、次の理想は「調整した遠視矯正度数を基準にした累進眼鏡」です。

  でも、眼鏡自体が初装の方の場合、それらが難しいこともあります。
  理解して頂き易いように、1つの例を示します。


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(例)眼鏡初装。遠視、乱視有り。左右で度数がかなり違う、遠近両用が必要な方の場合。

⇒この方の眼鏡を作る時のハードルを書きだしてみましょう。

1:遠視の眼鏡を掛けられるか?
2:乱視の眼鏡を掛けられるか?

3:左右差のある眼鏡を掛けられるか?
4:遠近両用の仕組みに慣れる範囲か?


⇒大雑把ですが、上記4つがクリアできれば、遠視完全矯正の遠近両用眼鏡製作。
 1~3の何れかが欠けても、4がクリアできれば、調整した遠近両用製作が可能です。

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★この例において、(4)の「遠近両用の仕組みに慣れる範囲か?」は、
 一見、「御本人の順応力」の問題のように見えます。


 ただ、近視と違って、遠視の弱矯正は加入度数を強くする必要があるため、
 そのまま遠近両用を作ると、かなり高加入度数になってしまったり、

 左右差が大きすぎると、さらに慣れにくくなる要素が高くなり、
 眼鏡が初めての人にとって、かなり酷な眼鏡になります。


◆このケースでは最終的に、「かなり高加入(=歪みの大きい)の遠近両用眼鏡」を作るより、
 まずは、遠用を完全または装用限界に落とした「遠用単焦点眼鏡」製作がベターです。

 なお、遠視の方で、何度も眼鏡を作って合わない場合は、完全矯正値の測定や
 測定結果を踏まえての「度数のチューニング」があっていないと、眼鏡を使えないこともあります。

 ぜひお近くの専門店(←キチンとしたスタッフがいる)で作成することを強くお勧めします。



 [ 単焦点レンズ製作した後の注意点 ]


◇遠用単焦点の眼鏡でお作りした場合、「遠くも近くも見える」と仰って頂けることが多いですが、
 実際は遠く用の度数しか入っていませんから、厳密には近くは100%の状態ではありません。

 下に説明図を載せますので、参考にして下さい。
 仮に遠用単焦点の眼鏡を掛けても、右側の(2)の状態で、近くだとピントは合いません。

 遠く用の+1.50の上から、近く用の加入+1.50を加えた、+3.00の近く用眼鏡が必要になります。
 (遠用+1.50 + 加入度数+1.50 = +3.00)⇒右側の(3)の状態。





 ただ、遠く用の眼鏡を掛けていない状態だと網膜よりも後ろで焦点になりますし、
 (2)の状態を眼鏡なしにすると、図よりも焦点はもっと網膜から遠くなります。

 ですから、遠く用の眼鏡を掛けた時点で(最初の頃)は、お客様は近くが見やすくなっています。
 今までが全然見えないレベルが通常でしたから、脳でも画像を認識しやすくなります。

 遠くも近くも不満足な状態だったのが、遠用だけでも満足な見え方に改善です。(^o^)丿



 ただ、時間が経つにつれ、今度は「遠くの良く見える状態」が徐々に「基準」になります

 そうすると今度は、「良く見える遠く」と「ハッキリしない近く」の相対評価で、
 実際は変わっていないのに、「近くの見え方が悪くなった・見えなくなった」と感じ始めます


 この現象が起きるには、お客様の状況で変わります。
 2,3か月で発生するかもしれませんし、2,3年後かもしれません

 誰にも予測できませんが、そうなった時は冷静にこのことを思い出して下さい。(*’ω’*)



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[ 補足 ]

◇ 今回は遠用の単焦点眼鏡を例にしましたが、近用単焦点メガネ製作した場合も、
 「近くが見える」ようになって「遠くが見えない」ことを認識し始めて、

 「メガネを掛けたせいで眼が悪くなった」と誤解する人もいます。
 予め覚えて頂いていると幸いです。

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