快適な遠近両用メガネを作る為の
初心者向けアドバイスHP
-フレームの材料は、大まかに3つに分けられます。
◇ 金属系:合金、チタン合金(βチタンや形状記憶合金)、純チタン。
※ プラチナ、ゴールド、シルバーは、高級素材に記載。
金属名 | 詳細 |
---|---|
純チタン | 重量が最も軽く、強度も高い素材です。 ※同じ純チタンでも、メーカーにより性能が違います。 |
チタン合金 | 超弾性素材いわゆるβチタン、形状記憶フレームもこの部類。 細かいことを記せば、若干は重量が純チタンより重くなります。 |
合金 | 色々な種類がありますが、廉価商品に良く使われる素材です。 ※多くの合金は、チタンより弱いですが、 装飾をする際に加工がしやすいものが多いことが特徴。 利用範囲が広く、もちろん高級品でも使用されています。 ステンレスを使った有名ブランドもあります。 |
◇ 主な素材:アセテート、オプチル、セルロイド、TR系。
素材名 | 詳細 |
---|---|
アセテート | 不燃性が高く、セルロイドに代わりに、 現在、最も多く使用されています。 |
セルロイド | プラスチック系フレームの総称として、 『セル枠』という名前が残っています。 不燃性の高いアセテートの登場で、 現在は、ほとんど使用されていません。 |
ポリアミド オプチル など |
現在流行中の透明、もしくは 半透明のふちなしメガネにも使用されています。 軽くフィット感が良いですが、熱に弱い点はご注意下さい。 |
TR系素材 | TR系の中でも最も有名なのが、 『グリルアミドTR90』かもしれません。 医療器具(カテーテルなど)に使われていて、 アレルギーなども起こしにくいなどの利点があります。 |
ウルテム素材 | ウルテム樹脂素材とか言われることもありますが、 熱変形がしづらく、柔軟性がある点が特徴です。 フロント素材に使う場合は、TR同様、 レンズカーブを考えたレンズ選びが必要かも。 フィッティングに向かない面があるカバーの為に、 眼鏡のツルの部分を工夫した製品が出てきています。 |
※セルロイドは独特の風合いがありますが、アセテートは不燃性に優れます。
⇒『燃えるセルロイドのめがね』で検索すると動画もあります。
個人的には、アセテート材をお勧めします。
※TR、ウルテム素材メガネは、全体を同素材で作るよりも、
複合的に使っているフレームの方が、フィッティングなども幅が広がります。
価格は上昇しますが、個人的にはそのような眼鏡をお勧めします。
素材名 | 詳細 |
---|---|
べっ甲 | 天然素材でアレルギーもほとんど起きない。 素材の希少価値が高い素材です。 工芸品の側面があり、壊れた場合も、 職人さんへ修理出しして、長く愛用していただける素材です。 |
金 | 主に18金と12金を使用して作ります。 調合で『イエロー』や『ピンクゴールド』、 『ホワイトゴールド』になります。 壊れても修理がきくこと、 ほとんどのため永く愛用していただける素材です。 金属アレルギーも非常に起きにく素材でもあります。 |
他貴金属 プラチナ ・シルバー |
超高級素材としては、『プラチナ』がございます。 また一部メーカーで、 シルバーを使用したフレームが発売されています。 |
★多くの製品では、吹きつけか電着塗装がなされています。
メッキ種類 | 詳細 |
---|---|
従来のメッキ | カラーを貼り付ける、字文字通り従来からメッキ。 |
イオンプレーティング (IP) |
従来方法に比べて、メッキがはがれにくい特徴。 |
※従来のカラーメッキと、ひとくくりにしていますが、
昔のカラーメッキに比べると、良くなっています。
もちろんメーカー毎の技術力の差がでる部分です。
名称 | 形状の説明 | 長所 | 丈夫さ |
---|---|---|---|
フル・リム | プラスチック素材 または金属で、 レンズ全てを 一周囲って、 固定している。 |
選んだ枠の イメージに、 演出しやすい。 |
枠を囲ってあり 一番丈夫。 |
ハーフリム (ナイロール) |
レンズ露出部分を ナイロン糸で 固定する形状。 |
枠の存在を 主張しつつ、 素顔に近い イメージ。 |
上下の中間。 |
フチなし ツーポイント スリーポイント |
直接接着剤や、 ネジ等で、 レンズを固定する 枠無しメガネ。 |
素顔に近い イメージに。 |
3タイプ中、 強度最弱。 メンテナンスが マメに必要。 |
※長年の癖で『ナイロール』と書きましたが『ハーフリム』の方が正確です。
業界では「ナイロール」という俗称で呼ばれています。(^-^;;)
真ん中の下の写真のように、
レンズを「ナイロン糸」で釣っていることが由来となっています。
※『先セル』・『鼻パット』、『ナイロン糸』、
『ナイロンワッシャー』、『各種ネジ』、『ナット類』は、消耗品です。
→これら部分が壊れても、純正、または汎用部品に交換することで、
引き続いてご使用頂けます。
・テンプル(ツル)の裏側」か、「ブリッジの裏」に、主に刻印されます。
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【補足】「形状記憶」や「形態安定」合金の使用部分のについて
・【形状記憶合金】眼鏡とは、ある一定以上の高温で形状を記憶させて、
常温になった時にもその形を保持させようとする金属の事です。
ちなみに形状記憶がされていても強い力をかければ、普通に曲がります。
・【形状安定合金】は、形状記憶にほぼ近い加工を施し、
≪復元力よりも弾力性≫に特徴があり、力が逃げやすく、壊れにくいです。
このように、強い力がかかると弾力性で力を逃がしますが、
こちらも許容外の力をかければ曲がります。(過信禁物)
そして「形状記憶素材」や「形状安定素材」が使用されている個所ですが、
テンプル部分にだけ使用している製品がほとんどです。
これは、全部の部品にこの種の素材を使用すると、
「メリットよりもデメリットが上回る」と判断されるからです。
・フロントのリム部分に形状記憶素材を使用すると、
レンズカーブはお客様度数により変わるので、固定されるのは困ります。
・左右のレンズを入れてリムカーブが変化することで、
視力に影響の出るくらい左右のレンズ面が異なった場合、調整が難しい。
・鎧部分に形状記憶を使用するとお客様毎にのお顔の幅に合わせるのが
大変難しくなります。
など様々な理由があります。
また、ぐちやぐちゃに曲げても戻るという事は素晴らしいことですが、
最近の廉価形状記憶フレームは、熟練の職人が作っていませんから、
出来上がりの個体差が激しいので、個人的に仕入れたくありません。
〜理由は簡単。精度の低い完成品は調整しても元に戻ってしまうからです。
そのため当店では、「形状記憶」や「形状安定」をご希望のお客様には、
幅広いお客様に調整の幅が利く、お客様にメリットが上回ると考える
テンプルに「形状記憶」「形状素材」素材を使用した製品を推奨致します。
これと似た理由になりますが、
◇特に復元性の高い、柔らかいTR系素材を使ったフロントの眼鏡は、
レンズをはめる溝が浅かったり、カーブ成形と組入レンズと差があると、
眼鏡としての機能が十分発揮できない可能性があるので、
お持ち込み頂く場合はレンズ入れを御辞退する場合がございます。
予め御了承下さいませ。
〜現在でも、調整のため、「クリングス」部分を触っただけで壊れる。
そんなフレームをお持込頂くことがあります。
お持込で製品を拝見したときに、お断りすることがありますので、
あわせて、あらかじめご了承下さい。
☆彡 次は〈 レンズの基礎知識 〉です。⇔クリックでジャンプします。
(安価素材に関する質問が多かったので、以下は、追加コメントになります。)
【TR・ウルテム素材品の追加コメント】
TR素材やウルテムフレームは、近年多く作られるようになりました。
熱変形のしづらさ、形状記憶性、柔軟性による復元力なども魅力です。
実は、昔からあった素材で、色々と眼鏡に向かない素材だったため、
日本メーカーは、素材として扱っていないところがほとんどでした。
価格が安く、軽さ、復元力を、眼鏡に希望するお客様が増えて、
今日ではメジャーな素材の1つになりました。
流行の初期段階では、素材自体が「低品質」で、「造りが悪い」
そんな眼鏡が多いという個人評価でした。
その後、近年は、品質の悪い製品が淘汰されつつ(←まだありますが)、
良品を作るメーカーが出てきて、2極化が進みました。
これは、TR系やウルテム系でも、「必要なコスト」をかけて、
「製作精度差」、「材質自体の見直し・改良」の結果だと思います。
もしも購入検討される場合は、造りの部分と品質の良いものを、
よく見て選ぶことを推奨します。
※品質の目利きができない人は、ある程度価格で推測してください。
(高品質=コストアップ=価格アップしているのが、ほとんどです。)
【TR・ウルテム眼鏡のお持込み・当店レンズ加工について】
現時点で、TR・ウルテム素材の眼鏡で、レンズ入れをお勧めしづらい、
個人的には眼鏡に向いていないと思う(素材や造りの)製品があります。
…特にフロントTR等フレームへのレンズ入れには、慎重なスタンスです。
特性の分かっている、ご購入店でのレンズ入れ替えを推奨致します。
フィッティングできないとか、簡単に壊れる眼鏡が、今もあるのが理由です。
…そのタイプの眼鏡をお持込みで、ご説明の上で、強くレンズご希望頂く場合、
材質・強度を把握している購入店で、調整でのお約束を頂くか、
お渡しまでの製作プロセス中に破損等が生じても、
当店の免責をお約束頂いた場合は、慎んでお受け致します。
なお当店でも、お客様からのご要望にお応えできるよう、
客観的情報と主観的製品評価(独断と偏見?)で販売品を決めました。
AMIPARIS(アミパリ)やEYEs CLOUD(アイクラウド)などです。
※客観的情報は、先行して仕入れた人たちの評判など。
主観的な評価は、実際に仕入れて、色々と確かめた結果です。
ですので、お持込み品が取扱開始メーカーと同じなら、特性を把握済みで、
他のお持込み眼鏡と同様に、普通にお受けいたしております。