(1)運転には、遠近両用メガネです。(^^♪
架空のお客様の処方箋を例します。
〈 遠用 処方箋 〉 マイナス=近視性という意味
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球面 |
乱視 |
乱視軸 |
加入度数 |
瞳孔間距離 |
右 |
−4.00D |
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+1.50D |
30ミリ |
左 |
−4.00D |
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+1.50D |
30ミリ |
※加入度数:遠くの度数に
加え
入れて、近くを見やすくなる
度数の事
⇒(ー4.00D)+1.50D=−2.50D(近くの度数)
これを踏まえて、度数と視力の関係を表現します。
各度数の次にある()内が、その度数で得られる視力とします。
分かりやすくなるように書いているだけで、
このような見え方になるわけではありません。
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遠用単焦点 |
遠近両用メガネ |
度
数
分
布 |
 |
 |
視
力
分
布 |
全面
―4.00(1.2) |
遠用 −4.00 D(1.2)
遠用 −3.75 D(1.0〜1.2)
遠用 ー3.50 D(1.0)
中間 ―3.25 D(0.9〜1.0)
中間 ―3.00 D(0.8〜0.9)
近用 ―2.75 D(0.8)
近用 ―2.50 D(0.7) |
☆かなり、ご都合主義の例になりますが、運転の遠方視力で考えると、
全面同じ度数で、視力1.2が得られる遠用単焦点メガネが一番です。
しかし、老眼になると、スピードメーターやナビを見るときにボヤケます。
こうなると、スピード違反や道を間違えることも危ないことです。
累進レンズについて詳しい方はご存知ですが、
『中近両用メガネ』には、名前にはない、遠くを見る(遠用)度数があります。
(2)運転に、中近両用をお勧めしない理由。
論より証拠で、同じことを中近両用メガネとの比較でお話しします。
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遠近両用メガネ |
中近両用メガネ |
度
数
分
布 |
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 |
視
力
分
布 |
遠用 −4.00 D(1.2)
遠用 −3.75 D(1.0〜1.2)
遠用 ー3.50 D(1.0)
中間 ―3.25 D(0.9〜1.0)
中間 ―3.00 D(0.8〜0.9)
近用 ―2.75 D(0.8)
近用 ―2.50 D(0.7) |
『説明』
- メガネをかけた時の目の位置が、レンズ上下の中央付近とします。
ちょうどそれぞれの図の左側にある、黒い線の高さとします。
- 遠近両用の場合、遠方度数と中間度数の付け根になります。
正面を見た時の、視力は、最高「1.2」、悪くても「1.0」を少し欠ける位です。
- 中近両用の場合は、完全に中間度数になり、「0.8〜0.9」になります。
- 運転は遠方だけでなく、横方向のワイドな視界が重要になります。
歩行者や陰から出てくる車などに気づきやすくなり、安全性が高まります。
その点、遠近の方が広いので、同じ条件であれば、
遠近両用と中近両用では、文句なく、遠近両用が優れています。
☆単純遠方視力だけでなく、側方視野も広く取れることが重要になります。
☆別の章でもお伝えしていますが、物は目で見ているのではなく、
脳で画像化されたものを認識しているのです。
遠用度数が眼前に多く来る遠近両用の方が、脳での画像が作りやすいものです。
逆に中近両用は、少ない情報で遠方視力を作っているので、見え方が劣ります。
☆さらに中近両用に言及すると、昼間は認識できる、面積の小さい遠用情報が、
夜間になると見えにくくなり、脳で認識するための情報が少なります。
つまり、昼間は視力表で1.2見えたとしても、夜間になると、0.7も怪しく、
運転が難しくなることもあります。
というわけで、当店では、中近両用での運転はお勧めせず、
遠近両用メガネまたは単焦点メガネでの運転を推奨しています。( ^ω^ )
(3)中近両用の運転が良いと主張する方例
遠方度数をきっちり入れた、単焦点・遠近両用メガネが、運転には適している。
と、(2)で説明しましたが、「そんなことない。」という方もいらっしゃいます。
そのような方の例を記すことで、やはり、目的に合ったものが安全である。
ということを、知っていただきたいと存じます。
当店は、累進レンズ製作でご評価頂いている部分があるので、
単焦点から、初累進レンズをお作りすることもございます。
近くが見づらいの困っていたので、遠用度数を弱めにして対応、
遠くも近くも、そこそこ見えていた方を、例にさせていただきます。
その方の検査度数も上記例と同じ、遠用度数:―3.00の近視、加入度数:+2.50.
今までのメガネが、―3.00Dの近視のメガネとします。
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今まで掛けていた
メガネの度数 |
新作の中近両用メガネ
近視-4.00 D、加入度数+1.50 |
視
力
分
布 |
全面
―3.00(0.8〜0.9) |
遠用 −4.00(1.2)
遠用 −3.75(1.0〜1.2)
遠用 ー3.50(1.0)
中間 ―3.25(0.9〜1.0)
中間 ―3.00(0.8〜0.9)
近用 ―2.75(0.8)
近用 ―2.50(0.7) |
※分布図は略します。
☆眼前度数が同等か、それ以上によく見える度数(1.2)もあり、
新しい中近両用メガネで視力検査すると、1.0以上の視力も出ます。
単純に度数が違うのですから、比較するのは不適切です。
遠近両用メガネで運転する方が、より見やすく、安全性は高まるのですから…。
(4)遠近両用メガネで運転をしたいなら……
- 車の種類などは、メガネを作る上で、必要な情報です。
大きく分けるなら、セダン、スポーツカー、SUV、トラック、建設機械。
どれも、車の運転ですが、車高やコックピット周りが異なります。
- 運転姿勢の情報も大切です。
昔は、MT(マニュアル)が多く、正しい姿勢で運転しないと、ギアチェンジもできませんが、最近、AT(オートマ)が主流で、シートを倒す人もいるようです。
正しい姿勢で運転する人は問題ないですが、半身の方も日常お見受けするので、
正しい姿勢で運転なさらない方は、正しい姿勢が大切です。
眼鏡の装用状態を元にして、アイポイント、レイアウトを設定することで、
使用に耐えうる、楽になれやすい設定のメガネが出来やすくなります。
- 車の運転で慣れなかった方で、当店でリトライの際に、メガネを拝見すると、
・問題の半分は、製作度数の選択。
・あとの半分が、レイアウト等の選択。
度数選択は、測定時からお客様のお好みやタイプを把握は必要で、
公式のように、決まった対応をするわけではありません。
同様に、レイアウトもお客様のタイプによって、設定等を決定します。
眼鏡の製作技術・経験がモノをいいます。
信用のおける、ごひいきの眼鏡店でよくご相談ください。(*'▽')
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