他店様で[ 遠近両用コンタクト ]をお作りになられ、
そのコンタクトの上から使う、遠近両用メガネをお作りになられたお客様に、
「同じ遠近なのに、コンタクトだとボヤケル感じがあるのに、
眼鏡だとクリアに感じるのは何でなの? (´・ω・) 」と、
素朴なご質問を受けることが多くなったのと、
多焦点の眼内レンズについてご相談が重なり、書くことにしました。
◇まずは下の図をご覧ください。
[ 濃い青色は、遠く用の度数]、[水色は近く用の度数 ]、
[ 徐々に色の変化しているのは、中間用の度数 ]を表しています。
バイフォーカル タイプ (二重焦点) |
マルチフォーカス タイプ (累進=多焦点) |
眼鏡の累進レンズ |
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中心が遠く、次に近く用。 交互に遠近の度数配置。 中心が近くの事もアリ。 ドーナツ状の度数分布。 | 中心に遠く用度数。 端に行くほど、 徐々に近く用度数。 | レンズ上部が遠用度数。 下方に徐々に近用度数。 |
遠近両用コンタクト | 遠近両用メガネ |
![]() 青線:遠く用の情報 赤線:近く用の情報 |
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目とコンタクトは、ほぼ一体化。 網膜には常に、遠近両方の情報が 網膜に映るようになります。 遠近の混在する情報を、 脳で仕分け、片方の情報を抑制。 脳で切替をするようなイメージ。 | 目とレンズが離れているため、 視線移動で、見たい情報を選べる。 混在する情報が少なくなるので、 脳での仕分が楽になる。 抑制する情報が少ないので、 見え方もハッキリしやすくなる。 |
◇なお種類は、ハードレンズ、ソフトレンズ、使い捨てソフトです。
1)個人的な考え方、好みになりますが、ソフトに比べて、
酸素透過性が高く、より少ない涙液量でも使える、まずハードがお勧め。
「異物感から目に悪い」と間違った常識(?)が、まかり通っていますが、
眼に異常があった時に、すぐ自覚症状がでますし、酸素透過性も優れています。
特に夕方以降は、健康的な人でも渇き目がちになったときに、
ソフト素材と違って、渇きによる変形、曇りも起きにくい為、
見え方が安定している点もおすすめポイントです。
(なお初装の方は、異物感で無理だったらお勧めしません。)
メーカーによって特徴があるので、装用体験をしっかりして、
自分のライフスタイルにあったメーカーをお探し下さい。
2)次にお勧めは、通常ソフトレンズで、左右別設計のタイプ。
左右同設計に比べて、遠くも近くも見やすくなりやすいです。
製品名を上げると、例えば、メニフォーカルS。
高いですが、ソフトの中では一番見やすかったです。
3)最後に使い捨てのソフトタイプ。
目が乾きやすい私には、使い捨ては難しかったです。
それを加味しても、見やすさは、ハード→ソフト→使い捨てでした。(^^)
〜以上、自分の体験を通してですので、人によって結果は変わります。
予め、参考程度にどうぞ。
−私見・印象ー
‐コンタクトに関連して‐
最近、白内障手術時の「 遠近両用 眼内レンズ 」が、
とても好意的に、かつ、「完全無欠」の素晴らしい物のように、
TV・マスコミでも取り上げられています。
ネタがないのか、1つの局で特集すると、他が続けて報道され、
あらためて、マスコミの影響力は本当に大きいと感じています。
分りやすく、インパクトのある報道を心掛けているのか、
ご本人が成功したと感じている患者様をクローズアップして、
万人に、遠くも近くも完全に見えるような印象を持たせる内容で、
デメリットは殆んど紹介しない状態になっていると感じています。
正直、レーシックが取り上げられた時と似ている気がして、
ちょっと心配になってきています。 (;´・ω・)
◆メリットのみが印象に残るような報道を信頼して、
手術をなさった方も多くいらしたのではないでしょうか?
今回も同じようになるのではないかと、危惧しているので、
良く考えて頂く参考になればと思い記します。
◆まず、生体の水晶体は、毛様体筋で水晶体の厚さを調整。
必要に応じて、遠く、または近くを見るために厚みを調整。
言わばオートフォーカスで、網膜前面に見たい距離の情報を写し、
脳で選別や抑制もほぼ無く、ほぼ全ての画像情報を画像化し、
情報をクリアに認識し、物がよく見える状態になります。
◇これに対して、遠近両用の眼内レンズは、基本的な度数分布が、
遠近両用コンタクトレンズと同じ原理(二重焦点または累進多焦点)なので、
網膜に映った、遠くから近くまでの様々な網膜像の中から、
自分の見たいと意識した情報を、脳で選択して画像化。
その際に不要な情報は、脳で抑制して、認識しないように、
画像化されないよう排除していくようなイメージです。
生体の水晶体の場合は、オーロフォーカスするため、「 認識 」するだけでよく、
遠近両用コンタクト(眼内レンズ)は、「 認識 」と「 抑制・排除 」の2つの作業を要す。
そして、脳で目的の情報を感知して、不要情報を抑制する能力は、
人によって様々で、どの程度抑制できて、どれくらい時間がかかるか、
また、その抑制の結果、どの程度の画像化で満足ができるかの基準も、
患者様によって異なりますので、術後の評価も人それぞれになります。
◆辛辣な書き方になりますが、手術自体は無事に成功しても、
見え方がどうなるかは、患者様次第なので、
ドクターから見れば、良く見えなくても、技術的に手術の失敗はありません。
(そこまでは、誰も責任は持てなくて当たり前だと思います。)
医学的に最適な度数でかつ、しっかりと眼内レンズを設置できていても、
上記のようなことは起こるからです。
★結論ぽくなりますが、個々に人が判断することになるので、一律の評価はできません。
でも言えることは、「合う人にはとっても便利な選択肢」だということです。
数年前に比べて、いろいろな面で進歩していますし、
これからももっとより良いものができると、私も信じています。(*^-^*)
でも、お客様から「貴方ならどうしますか?」とご質問頂くと、
現段階(2015年)の自分の経験と知識の範囲だったら、
私の場合は、マスコミ報道の遠近眼内レンズではなく、単焦点にします。(*^^*)
→もちろん私がある程度近視が強くて、遠近両用コンタクト使用で
十分メリットを感じていたら、話は変わりますね……。(;^ω^)
◇手術の成功率を気になされて、成功率を聞かれることがありますが、
当店は眼鏡店ですので、きちんとした眼科さんでお尋ねください。
私の認識では、手術の成功は、無事に手術が終わること。
退院後の視力がどれだけ上がるか、維持されるかは、
手術の成功とはまた別だと考えてます。
(それくらいクールに考えないと決断できないタイプだからです。)
◇例えば、私がレーシックを受けたとして、手術自体は成功しても、
近視の戻りやドライアイ、グレアが起きても、それは術後の経過。
手術は成功していて、それはリスクの問題ですと仮に言われたら、
私はショックを受けてしまい、どうしていいか分からなくなると思います。
ですから、成功率というのは、手術自体のことをさして、
満足度や術後リスクとは、全く別物だと考えるようにしています。
◇いろいろな考え方があるので、ほかの方のご満足や体験も正しいと思いますが、
やはりレーシックや現在のマルチフォーカスの眼内レンズは、
手術の成功よりも、その後のリスクを考えると、私はやらないと思います。
→リスクが顕在化した場合、何かでリカバーできるリスクならいいのですが、
今の時点では、リカバーできる方法がないからやらないという感じです。
☆現にきちんとした大学病院や眼科ほど、
遠近両用眼内レンズのメリットとデメリットを表示・説明をなさると存じます。
例えば、術後の効用についても書き方が慎重で、控えめにして、
「手術後に眼鏡の必要性が減少や、不要になることもあります」といった内容や、
「眼鏡が不要になるかもしれない」といったスタンスで、
患者様に正しい情報が伝わり、選択しやすい環境になさっています。
腕の良い先生は、単焦点レンズの度数の選び方や手術自体も含めて、
総合的に素晴らしいから、患者様の満足度が高くなると思っていますから、
その時が来たら、単焦点眼内レンズ+眼鏡で良いかも含めて、
私は何らかの方法を考えて調べると思います。(^^)
どんな方法が一番良いか、満足が得られるかは、人それぞれです。
遠近両用眼内レンズは、適合される方にはこの上なく便利であると思いますので、
どうするかは常にご自分を基準にお考えいただければ宜しいかと存じます。(*^-^*)
- - - - - ここから先は、後日記載していきます。- - - - -
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